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戦場記者のakiakaneのレビュー・感想・評価

戦場記者(2022年製作の映画)
3.0
大変「男らしい」作品。
パレスチナで空爆で殺された家族の子供(4人とも男児)の写真はあっても妻の写真がないのはなぜか、夫を戦争で亡くした妻の支援をしないかと尋ねると同時に結婚していない女性は想像に至らないのか。女性は男性の付属物ではないが?
「西側国際社会は女性の権利と教育の権利に対する抑圧を批判してアフガニスタンの支援を打ち切った。最低限以下の生活を強いられる人々がこんなにいるのに」と橋の下に住む棄民を見て苦言を呈す記者は、支援と差別撤廃双方を求めれば良いのに、最初から男性と同じ権利を得られない女性の権利をなぜ引き合いに出すのか。その差別で女性は殺されているのに。2022年度ジェンダーギャップ指数146カ国中146位の現状を知らない野だろうか。
橋の下で最低限以下の生活を強いられた棄民の中に女性がいないのはなぜか、「地獄」と形容されるその中ですら、女性は「地獄の更に下」扱いを受けると想像は及ばなかったのか。
「そこにいる人たちの声を直接聞ける」と言うその声に男性と比べて女性は何人いただろうか。お得意の「ただし女性は除く」というやつだろうか。男性という特権を持ち大企業で働き育児を妻に任せておける恵まれた人から見た浅過ぎる綺麗事に聞こえた。
また、肝心な報道・戦場記者としてのインタビュー映像としても物足りなかった。パレスチナ、ウクライナ、アフガニスタンをはじめとした現地からのレポートはTBSラジオのパーソナリティや同じく現地レポートをした記者たちの個々にフォーカスしたインタビューと比べると薄く、人となりや仕事への姿勢が分かると期待したコーディネーターや同僚、記者との話や接触までの経緯などの情報も無く、荷造りとランチタイムに語るシーンくらいしかない。

《余談》
パレスチナとイスラエルの問題については、イスラエル元兵士やパレスチナ市民まで当事者の声を10年以上にわたり膨大に集めた『愛国の告発 沈黙を破るPart2』を見てほしい。
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