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西部戦線異状なしのcharoのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
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始まりからグッと引き込まれた…
“戦争“というものの残酷さを改めて思い知る。


第一次世界大戦では約1700万人もの命を、
そのうち西部前線では、わずか数百メートルの為に、
300万人以上もの人が命を落とした。
たとえ1人だとしてもそれは許されないはずなのに…


亡くなった人の軍服を受け継ぐとこらから始まり、
最後には、自分がその立場になっていて、
この後も、続いていくという悲惨な現実…


国同士の戦いだけでなく、国内ですら、
裏切りは存在し、兵士として前線に立つものは、
まるで使い捨ての人形のように、
人とは思えないような扱い受け、ものすごい
スピードで、入れ替えをして、前線に出されていく。


帰還まであと少しのところで命を落としたり、
いつどこで、何が起こるかわからない、
死と隣り合わせの日常がそこにはあって、
帰れたとしても、この日々を味わった人たちが、
戦争を体験する前と同じようには生きれない。


最後の若者も、次は自分がこうなるかもしれない、
いつ自分に死が訪れてもおかしくない、
そんな思いを抱きながらも、名前を集めていく姿に、
パウルの人生が重なり、胸が苦しくなった。


『1917』の没入感とも重なる部分があって、
まるで自分が、この中の兵士の1人に
なったかのような映像体験。


ロケーション、壕のセット、衣装、特殊メイク、
全ての要素において、作り込みの繊細さに圧巻。


撮影方法や、視覚的、音響のこだわりからも、
この時代にあった出来事のリアリティを感じられる。
(アカデミー賞9ノミネートに納得の作品)


「西部戦線異常なし」は1930年に映画化され、
1979年にはアメリカでリメイクされている。
(最初の作品は大学の授業で視聴しました)


そして今この時代に、再映画化されている、
ということの意味を、忘れてはならない…


P.S.今作の製作はドイツなので、
原作の本国による初の映画化となっている。
こんなにしっかり作り込んだ作品を、
なぜ映画館で上映していないんだ…!
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