暗喩と皮肉が込められた軍服のエピソードが、戦争とプロパガンダの恐ろしさを物語っていた。
仲間たちとの朗らかに歌う、希望と誇りに満ち溢れた、笑顔の行進。
生きて家に帰れるとは到底信じがたい、とてつもない殺戮の戦場。
そんな地獄での日々の中、農家に忍び込んだパウルとカッツが、ガチョウと卵を盗むシーンが、印象的だった。
どちらとも。
農家の主からの銃弾には決して応戦せず、ただただ全力疾走で逃げるふたり。
特に雪原のほうでは美しくもあった。
苦楽を共にした戦友との絆。
盗んだガチョウを仲間たちと分け合って食べる。
文盲のカッツの為に、妻から届いた手紙を読み上げるパウル。
戦争の激しさ、悲惨さ、愚かさを徹底的に描いた中、戦友たちとの絆があったからこそ、休戦直前の切なさが際立っていた。
休戦協定の署名からの5時間。
1918年11月11日11時の休戦となる直前の命令に、心底驚かされた。