Shun

西部戦線異状なしのShunのネタバレレビュー・内容・結末

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞9部門にノミネートされた注目作。
100年ほど前に書かれた小説を自国ドイツで映画化。

お国の為に活躍すると意気揚々と戦地に赴く主人公が西部戦線で目の当たりにする凄惨な現実。
原作誕生から100年近く経っても、今なお繰り返される戦争によって”失われるもの”を次々と兵士の命が奪われていく戦場シーンと絶望する主人公の瞳が物語っている反戦映画。

第一次世界大戦を描いた傑作といえば『1917 命をかけた伝令』が思い浮かぶのですが、弾丸が飛び交う戦場を駆け抜けていくシーンは負けず劣らずのリアルさで圧巻でした。

また、この映画で改めて気付かされたのは、戦争で命を落とすのは国のトップや軍の上層部などの戦争を指揮する上の人間ではなく、末端にいる名もなき人々であるということ。

後には引けない、なんとしてでも戦果を上げたいという上の人間のエゴによって、救えるはずだった多くの命が失われるというあまりにも悲しい結末に途方に暮れてしまいました。

一方的に攻撃を仕掛けてきたロシアから国を、国民を守りたいというゼレンスキー大統領の気持ちは分かるけど、この惨状が1年続き、多くの人が元の生活に戻りたいと願うのを見ていると、武器の供与を他国に募り、勝つまで戦うと宣言する彼の行動や姿勢にそれで良いのか?と疑問を感じずにはいられません。

そんな世の中だからこそ観ておくべき作品だと思いました。
Shun

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