2023年、第95回米アカデミー賞の撮影・美術・作曲・国際長編映画賞の4部門で受賞。
これからピクニックにでも行くかのように浮かれる若者たちと、実際の戦地の過酷さ。
戦場の地獄絵図と、自然の美しさ。
むごたらしい遺体と、動物や昆虫の生命感。
兵士たちの中に垣間見える残虐さと人間性。
巧みな対比描写が目を引く。
どうして人類は過去の過ちから学ばないのだろう。
いったいいつまで愚かな殺し合いを続けるのだろう。
正直、この映画に特に目新しさは感じない。
戦争の悲惨さや愚かさは、この映画に限らず、数えきれないほどの映画で繰り返し描かれている。
けれど、それでも人類は学ばないのだから、それでも繰り返し描き続けるしかない。
今の時代に必要なのは、軽薄なポリコレアピールなんかじゃなく、戦争の悲惨さを語り継ぎ、世界の行く末に警鐘を鳴らすこの映画じゃないだろうか。
1929年に原作が出版され、1930年にも映画化されているこの作品は、2023年の今なお適時性を持って私たちに語りかけ、大切なことを教えてくれる。