ふしん

西部戦線異状なしのふしんのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.0
戦争の悲惨さと人間の醜さの物語。映像と音響によって、戦場の臨場感と生々しさを突き付けられました。ただ、近年の世界情勢をみると、人間は同じ過ちを繰り返す生き物なのだと悲しくなります。

日常シーンで主人公達の人間性を知り、戦場シーンでその人間性が踏みにじられ、壊されていくのを観る。それが、とても苦痛でした。とくに終盤にかけては、あまりに理不尽で、空虚で、抉られます。

非道な指導者が描かれていることで、視聴者の憎しみは彼に向いてしまいそうですが、この悲劇に至った背景には、私たちのような一般市民も無関係ではない事を、忘れてはいけない気がしました。

また、戦争程ではないにしろ、職業的搾取だったり、自分のエゴや利益のために、他人の人間性を踏みにじる事例は日常にあふれていて、そこに、程度の差はあれど、戦争に通じる人間の醜さを感じてしまいます。私も、便利で快適な日常生活をおくるために、(知らず知らず)誰かを搾取しているのでしょうし。そういう人の性質がなくならない限り、戦争や紛争が根本的になくなることもない気がして、虚しくなりました。
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