鹿shika

西部戦線異状なしの鹿shikaのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.0
第一次世界大戦のヨーロッパ。17歳のドイツ兵は意気揚々と西部戦線へと赴く。
しかし、最前線で仲間たちと命をかけて戦い、目の前で仲間たちがどんどん死んでいくのを目の当たりにし、絶望に追い込まれていく。

『1917 命の伝令』くらい素晴らしい戦争映画だった。
30年代のリメイクらしいので、そっちも見ようかなと。
こんなにリアルに感じる戦争映画がNetflix originalなんて、、劇場でやればいいのに、、

近年、ロシアによるウクライナへの侵略戦争があったり、戦争というモノが現実的に思えてきた。今までは授業で習うくらいの昔話だったから。
核爆弾が使われたら、地球が終わる恐怖もあるし、、まあ小娘には何もできないのだけれど。

戦争映画はこれまにも、沢山見てきたが、今作は ただただ絶望感が伝わってきた。
初めは、祖国のために闘えることが誇りでしかないのに、だんだんと目から光が失われ、なんのために闘っているのか分からなくなったり、
さっきまで冗談を言い合っていた仲間が、目の前で撃たれる光景、、
兵士たちの心情が嫌というほど分かる。

また、ドイツ側の戦争を描くのが珍しいとも思った。ドイツの戦争映画といえば、ヒトラーが絡むことが多いが、完全兵士目線でのドイツ軍の心情のリアルが分かった。
ドイツの植民地となり、ユダヤ人などの迫害された者たちの目線での物語が多くある中、今作は本当に興味深い気がする。
アカデミー賞で何項目も受賞した理由が分かる!


「1918年11月まの終戦まで前線はほぼ動かなかった。
僅か数百メートルの陣地を得るため、300万人以上の兵士が死亡。
第一次世界大戦では約1700万人が命を落とした。」

この文章のラストにタイトルが映し出される。

『西部戦線異常なし』

痺れるとはこのことだ。
鹿shika

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