メイマーツインズ

西部戦線異状なしのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.4
《戦争とは無情の世界である》

第一次世界大戦を描いた、2023年度アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。
Netflixオリジナル作品。



戦争映画から学ぶことは多い。
戦争の無慈悲、悲惨さ、戦場という極限状態で隠せない”人間の本質〟。
そして、私たちは平和の尊さを知る。

平和な日常を享受している現代の日本人にとって戦争は対岸の火事だろう。
米中対立、台湾危機、朝鮮半島情勢次第では、近い将来、日本も戦争に巻き込まれる可能性は高い。

人類の歴史は戦争の歴史でもある。
第二次世界大戦後、核の時代となり、核の抑止力で大国間の大戦争がない世界に。
だが、国家、民族、宗教、イデオロギーの違いがある限り、必ず利害がぶつかり、戦争は絶対になくならない。
それは、ウクライナ戦争をみれば明らかで、残念ながら人類みな兄弟は非現実的な空想でしかない。

本作は、有名な反戦小説が原作で、凄まじい描写で戦争のリアルを観る者に伝えてくる。
世界的に有名な俳優はいない。
だからこそ、戦場の全体像が客観的にみえてくるのだ。

地獄と化した戦場と対比するような美しい自然、情景に合わせた音楽の使い方も素晴らしく、戦争映画には珍しい高い芸術性を感じる。

有名なコンピエーニュの森での休戦協定も描かれているのは大変興味深い。後にヴェルサイユ条約で締結されることになるドイツにとっての屈辱的な降伏は、後に遺恨を残し、ヒトラーの台頭、第二次世界大戦に繋がっていく…

同じ第一次世界大戦を舞台にした”1917〟のようなダイナミックさはないものの、戦場の無慈悲、人間の本質を深く描いた戦争映画の新たな傑作‼︎
Netflixあっぱれ‼︎👏👏