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西部戦線異状なしの顔のレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
5.0
"君たちは最高の時代を生きている"
この言葉を信じて前線へ向かった青年たちの行く末。

たった数百メートルの陣地獲得のために300万人もの人間が命を落とした西部戦線。

勇敢さも栄光も誉れも何もかも、この作品には存在しない。

あの日笑いあった友人が目の前で撃たれ、焼かれ、命を落としていく。
殺した男のポケットには妻と幼い子供の写真があった。

人が一人死ぬということの重さ。
戦争に、虐殺に、肯定すべきものなど一切無い。
ただその事実をありありと表し切っている。

西部戦線異常なし。
淡々とエンドロール前に語られる史実の遣る瀬無さに、立っていられなくなった。

あの権力者たちのように私たちが肉やパンを食べている時、今も尚この映画で見たようなことが起こっているのだということを、決して忘れてはいけない。
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