1930年版が素晴らしかったので、それに比べるとちょっと見劣りするかな…。
前作に無かった休戦交渉やフリードリヒ将軍の描写は興味深かったし、前線の悲惨さとの対比で戦争の不公平さ、非情さ、虚しさや怒りを強調してるんだろうな…とは思うのだけど、そのせいで普遍的な反戦メッセージというより「トップが無能だと悲惨だなぁ」という矮小化された感想に留まる感じがする。
逆に今作に無くて残念だったのが、主人公が一時帰国した時に受ける違和感と絶望感の描写。血と泥にまみれ、命がけで戦う前線の兵士たちと、あまりにかけ離れた祖国の日常。無責任に若者の愛国心を煽る老人たち。
主人公はそんな欺瞞に怒り、絶望し、予定より早く戦地に戻る。
戦争の悪は戦地だけにある訳ではない。戦争の虚しさや愚かさの本質的なものを訴える大事なシーンだったのに、何故カットしてしまったんだろう。
戦闘シーンは生々しくグロい。とにかく兵士たちが大勢死ぬ。兵士の命の軽さは世界共通だ。
負けが確定したのに、終戦15分前に突撃命令が出たのは実話なんだろうか。まるで大日本帝国陸軍みたいなメンタリティに驚いた。
ただちょっと悲劇性を盛り上げる意図が見え見えで、脚本として良いとは思えない。
そもそも一兵士(主人公)が戦死した日の司令部報告に「西部戦線異常なし、報告すべき件なし」と書かれたエピソードがこの物語のタイトルの元になっているのに、これだとタイトルの意味が分からなくなってしまわない？
