言葉がまとまらない。
命の尊さを実感するとか、戦争の凄惨さを知れるとか、そういう感想も勿論あるが、この心の疲弊はそういうものからではない。
見終わった今、自分の命を主人公の命と重ね、彼同様に私のこの先の人生も全くの無に帰結することを実感して、「空っぽ」になっている。
「団体」の勝利のために、チェスの駒のように前進させられる「個人」。
その者たちの死を涙を流す暇もなく見せられ続けて、自分の命もその内の1つと同等であると思うと、何もやる気が起こらない。まるで本当に戦場を体感したような、脱力感に襲われる。生きる意味も、命の尊さも、全てがどうでもよくなる。 だってみんな死んでいくから。
人間として生きる気力がなくなっていく。
この感想を書いている最中にも、次第に、作品から得た痛みや恐怖、無情さが薄れていっている。強烈に胸を突き刺す映像体験だと思ったのに、私の脳が娯楽として消化してしまう。テレビで流れる、現代で、今まさに起こっている悲劇に、また実感が持てなくなっていく。
夜に観たら確実に夢に反映されると思って朝に観たが、今日はあまり笑えそうにない。