おこのみやき

フェイブルマンズのおこのみやきのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.9
子ども・少年の目線でその時その時の新鮮な感覚を丁寧に描いていた。

途中途中も面白かったが、ラスト近くから急に面白くなり、セリフも深みが出たような印象。プロムの日のロッカーの前でのカースト上位男子とのシーンと2人暮らしの父とのシーンが良かった。もちろん最後も。

「芸術と家族の間の葛藤」という主題だったと思うが、主人公の母や大叔父には直接関係しているように見えても主人公自身の問題としてはなかなか見えてこなかった。スピルバーグはどちらかというと大衆向けの映画を作っている印象で、そこまで「芸術と向き合っている」印象がなかったことが違和感の理由かもしれない。(エンタメより芸術が上位にあると言いたいわけではない)

葛藤や差別を語りつつもユーモアを織り交ぜ、深刻な物語よりも軽やかであたたかい物語になっていたと思う。

この続きが観たいんだよ...と思わせる映画。映画業界で揉まれ、成功する主人公の姿を見てみたい。