しゅう

フェイブルマンズのしゅうのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.2
字幕版を鑑賞。

自分にとって、スティーブン・スピルバーグは、「信頼」はしているが「偏愛」はしていない監督。

近年は原作付きや史実の映画化作品に於いてその卓越した演出力でリアリティ溢れる秀作を連発してきたが、今回は自伝的映画という事で、寧ろ"映画=虚構"という原点にたち帰った自己批評的な内容になっているのが興味深い。

自己の幼年期から青年期までの体験と(家族の)記憶を美しくも哀しい、或いは哀しくも美しい"物語"へと昇華させる安定の語り口。

と同時に、高校でのバケーション映画のエピソードで、現実を巧みに切り取り編集して見せてあたかもそれが真実で有るかのごとく描く事の危うさと傲慢さに言及する、まるでこの映画自体を相対化する様なメタ視点が入るのも面白い。
しゅう

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