はぐれ

フェイブルマンズのはぐれのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.6
巨匠の日記を覗き見しているようないけない心持ちになって終始ドキドキ。アルフォンソ・キュアロンから始まった巨匠のルーツ語りブームの真打ち。映画は光と影を映す芸術。奇しくもサム・メンデスの新作『エンパイア・オブ・ライト』のテーマとかぶる。本作にも主人公が幼い時に撮ったドキュメンタリーの中にその二つのシーンが同居していて強烈なコントラストとなっている。

なぜスピルバーグの映画は父性の強い映画ばかりなのか、それがようやく理解できた気持ち。この映画は自分たちを捨てた母親をスピルバーグが許すために存在しているのかもしれない。記憶とはどうしても想い出補正がかかるもので母親役を演じたミシェル・ウィリアムズは自由奔放だがとてもキュートに描かれている。普通だったらもっと積年の恨みつらみをこの役にぶつけて醜く描いてしまうよね。人生の酸いも甘いも嚙み分けてきたキャリアの終盤期だからこそやれた芸当なのかも。

ラストシーンは映画ファンへのご褒美。とある事務所に通された若きスピルバーグの風貌が在りし日のフランソワ・トリュフォーにしか見えないのもさることながら、その事務所の主であるあの大巨匠を演じているのがスピルバーグと並び評されるほどの巨匠だったのがサプライズすぎて映画館だったのに思わず声が出たw
いや、あれは瓜二つでしょ😂そういう意味ではエンドクレジットでそのビックネームの名前を見つけるのがこの映画のひとつの沸点なのかもしれない。
映画の神が言い放った地平線についての格言。まさにフィルムメイキングの真理だよね😇
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