ピロシキ

フェイブルマンズのピロシキのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.4
今までスピルバーグをあまり熱心に追いかけてきたわけではないけれど、スピルバーグと同じ時代を生きていられることはやはり、喜びなのかもしれない。「ユニバーサル」の地球のロゴの前にヌルっと月が現れて「アンブリン」のロゴに切り替わる瞬間、なんか声出そうになった。

上映後Wikipediaでスピルバーグの経歴見たら、まんまさっき観た映画の通りだった。ガチでずっと自分の話だったんだ。きっと実際の両親もあんな人たちだったんだろうし、いじめっ子役の俳優もかつて実際にいじめてきた奴らに瓜二つだったのではないか(子分のほうはトッド・ヘインズの『ワンダーストラック』で走り回ってたあの少年!)。

「言葉ではなくイメージで伝えろ」という叔父さんの教えを正しく実践し、今や誰もが知る映画人として歴史に名を刻んだスピルバーグ。芸術を生業にすること、映画製作に身を捧げることの苦しみを知るからこそ、たんに映画バンザイ監督バンザイでは終わらない。ここには映画への賞賛よりもむしろ、畏敬のようなものが感じられる。「いやぁほんっとに、映画にはかないませんな〜」ってなもんである。それをスピルバーグに言われたら、いまや反論できる人間が世界の何処にいるだろうか。ラスト5分のエピローグは白眉。エンドロールで流れるもう一人の巨匠・ジョン・ウィリアムズの音楽にも胸が熱くなる。
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