ぴよまろ

フェイブルマンズのぴよまろのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.6
スティーブン・スピルバーグ監督作品。自身をモデルに、幼少期の映画との出会い、映画作りに没頭していく少年期から青年期を描いた自伝的作品。

映画作りの作品ながら、創作の楽しさを描きつつも、その裏には犠牲や罪が伴うというメッセージの込められた作品でした。映画というものを過剰に美化しないあたりが最高にクールです。そんな両面を描きつつ、それでも映画を好きなのだから、創作を止めることはできないという、ある種の呪いのような思いを感じました。(特に大伯父ボリス、ベニーおじさん、そして両親からのメッセージはそれに近い。)

主人公サミーが映画作りをするごとに、使用するカメラのグレードがアップしていき、それと比例してプロに近づいていくようなストーリーが印象的です。その中で、映画を撮るときのアイデア(銃撃のフラッシュ、戦闘の演出、鳥のカットとアイスのカットなど)が、「ここから始まったんだ!」感があり、単純にモノづくり作品としても面白いです。

父と母の描き方が特徴的で、父はエンジニアとして母は芸術家として天才肌であり、違った方向の能力があり、善良で魅力的な人物です。ただし、天才肌がゆえに、本当にやりたいこと家族との間で板挟みになるというのが、才能がある人の苦悩や孤独を表しているようで、印象的でした。

そして最後のアレは、まだまだこれからという感じを残しており、最高に面白いです。御年76歳にして、まだこういうことができるのかと思うと凄まじい。

少年期のノスタルジックさ、そして映画づくりの楽しさと苦悩が描かれた作品でした。
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