カタクチイワシ映画レビュー

フェイブルマンズのカタクチイワシ映画レビューのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的映画。

こと映画においてこれまで一度もスピルバーグを通ってきてない人はいないんじゃないでしょうか。スピルバーグより好きな監督は何人もいますが、客観的にみて世界一の映画監督は彼だと思います。そんな彼の天才がどのようにして出来上がったのか? 知ってる人も知らない人も楽しめる作品です。


スピルバーグと家族の話は有名ですよね。作中でも”家庭と芸術”の話がありましたがこの映画では若干マイルドに脚色してありました。そこは映画の魔法というか、スピルバーグの家族・家庭への憧れみたいのを勝手に感じてしまって思わずウルっときちゃいました。

1番好きだったのはプロム後のジョックとのシーン。主人公にとって映画はそれまで、恐怖を相対化する道具・愛するもの・逃げ道として描いてきていましたが、ここで映画の持つ恐ろしい側面を見せてくる。虚を実、実を虚に見せることのできる彼の才能にジョックは涙し叫びます。『あそこに映ってたのは俺じゃねぇ!』。なんか普通に青春映画的でメッチャ好き。コイツもいろいろあんだろ〜な〜とか思って。反面、これは映画の本質の一部分なとんでもなく怖いシーンでもありました。改めて映画ってスゲーなと痛感致します。


スピルバーグ作品に必ずと言っていいほど出てくる壊れかけた家庭、そのルーツがここにあります。芸術を志す者の孤独と映画への愛。如何にして彼は世界一の映画監督になったのか。
間違いなくスピルバーグ好きには必見、そうじゃない人にも必見です。これまでの、そしてこれからのスピルバーグを語る上で欠かせない一作だと思います。オススメです!