たむランボー怒りの脱出

フェイブルマンズのたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.5
決定的瞬間を捉えてしまう危険性をつねに孕んでいる、それによって人を不幸にする恐れのある映画という技術=芸術と関わることの痛みを経験した少年が、これから全世界に向けて映画を作っていく…というのは感動と同時にちょっとした戦慄を感じる。
私生活において不幸を招いた映画という技術は決定的瞬間を捉えてしまった主人公にとって罪に変わるが、その「撮れてしまうこと」が罪とはならずむしろ人々の感動を招くものになりうるのがショービジネスとしての映画なのか。

映画好きな人はクラッシュシーンもやはり好きというのがあって、その遺伝子ってスピルバーグがまずそうなんだと。列車と自動車が衝突するデミルの映画の残酷さに惹かれて映画を撮るようになった、そういう人がいま世界に映画を発信している…そしてまた伝染していく。
幼少時代に「交通事故」場面を撮影済み、さらに少年時代に至ると「人間の落下」を撮影。映画好きの興奮地点を着実に踏んでいく…という。