たにたに

フェイブルマンズのたにたにのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.2
【映画を観る目を養う映画】2023年33本目

スピルバーグの自伝的映画ということで、楽しみにしていた今作。
幼少期から青年期を描き、"映画"という魔法にどのようにかかって、そしてどのような興味を持ち、誰とどのように関わってきたか。それがまるでファンタジーのように美しくも控えめに、アイディア満載で描かれている。

フィルムをカラカラと回す心地よい音、それを文字通りカットして、編集していく。
銃弾を受けて撒き散らされる血飛沫。
足元のシーソーのような装置で、土を弾けさせるアイディア。そして土がカメラに覆い被さる演出。

サミー少年の好奇心は、常にレンズを通して世界を見ることで生まれている。
しかし、そのレンズは見たくないものまで映し出してしまうこともあるし、現実の世界を歪めて魅力的に映し出してしまう可能性もある。

それだけメディアというものには、パワーが備わっていることを知らされる。

そのリスクをエンタメと捉えて楽しむのが映画の醍醐味だと思いますが、だからこそ映画を観た後に自分の感想を持つことの大切さも知らされる。

社会問題やファンタジー、そしてミュージカルや自伝映画までオールラウンダーにこなすスピルバーグの才能には脱帽です。
たにたに

たにたに