おざわさん

フェイブルマンズのおざわさんのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.8
スティーブン・スピルバーグ監督の作った自伝的映画『フェイブルマンズ』は、自己陶酔映画ではなかった…笑。

「そんな映画見せられてもな」と同じ時期に公開された『エブエブ』はスクリーンで観たものの、この作品はまあ配信で良いかな?と思っていました。

技術者で真面目一徹な父親と、明るく奔放な母に連れられて初めて行った映画館で衝撃を受けたサム・フェイブルマンズ少年が、その後映像作品の虜になっていくまでを描いたストーリー。

この時に実際に観た映画は、1952年のアカデミー作品賞を獲った『史上最大のショウ』で、列車が車とぶつかって脱線するといいうクライマックスのシーンに衝撃を受けたところから、ストーリーは始まります。

フェイブルマンズというのは本名とかでなく、あくまで役名として「スピルバーグ」の代わりに付けられた、ユダヤ人にありがちな?名前なんですね。
日本人なら山田さんとか鈴木さん、みたいな感じ?

(編集後記:フェイブル=寓話・作り話の意味で、フェイブルマンズ=作り話の家族の物語という意味を含んでいるそうです)


そして敢えて卒業してから、映画制作の現場でジョン・フォード監督のアドバイスを受ける所までで話を止めてるのもお見事。

両親や叔父さん、そして映像オタクだった学生時代に出会う人たちとの関係の中で、映像の持つ妖しい力に目覚め、そこで生きていくことをためらう姿が印象的。

こうして見ると、今でもどこかで映像世界に飲み込まれないよう恐ろしさを抱き、迷い続けているのではないか?とさえ感じてしまいます。

この作品を観て、また更に今年久々に帰ってくる『インディー・ジョーンズ』の新作を観る楽しみが増えました!