オクターヴ

フェイブルマンズのオクターヴのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.2
深くて、熱くて、温かくて、暗くて、怖くて、悲しくて、ついに始まるのかと思ったら、もう終わってた。あと2時間半は観たかった。映画の王様がもう一つ殻を破ってみせた傑作で、あの嫌な感じもスピルバーグらしいしんだけど、「進め!」って背中を押してくる。サミーがああやって撮っちゃうのがもうほんと刺さるんだよね。カメラの前にいるだけで映画に愛されちゃう人って、やっぱりいるんだよ。そのどうしようもない事実に向き合ってるし、自分の直感を信じている。つまり、もう完全に映画を信じている。こういうのが熱いんだよな。その一点突破なのよ。あと、サミーは家族愛もあって、ちゃんとした子なんだよね。映画撮影に取り憑かれているわけじゃない。映画を撮るということの前に現実の世界と向き合ってるし、まったく逃げてない。ちゃんと戦ってる。人生から逃げないという個人史の映画でもある。そして、タイトル通り家族の映画なんだよね。