まーしー

フェイブルマンズのまーしーのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.5
巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的映画。
技術者の父、ピアニストの母、そして3人の兄弟姉妹と暮らす少年サミーが、映画との出会いや苦難を経験しながら成長していく。

スピルバーグ監督らしい、作品全体が映画愛に溢れた本作。
小さいときからカメラで撮影するサミー少年。彼の好奇心を温かく見守った家族。スピルバーグ監督の天賦の才は認めるも、その才能を引き出す環境にもあったことを知らされる。
映像技術が十分にない時代、様々なアイデアで戦争映画を撮ったサミー少年の独創性には舌を巻く。

ただし、決して順風満帆な半生ではなかったよう。
ユダヤ人に対する差別や偏見、家族の不和、失恋など、サミー少年が歩んだ道は決してエリートコースではない。
映画への愛があったからこそ、こうした苦難を乗り越えることができたのだろう。そういう意味では、彼と映画の出会いは、彼の人生に潤いを与えたとも言える。

幾つかのエピソードを織りなしたストーリーは、決して派手なものではない。
でも、どこか温かい気持ちにさせてくれる、そのような不思議な作品だった。