Ran

フェイブルマンズのRanのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.9
少年時代の映画撮影、フィルムに穴を開けて銃を撃ったかのように見せる編集。実際に穴を開けるともっと粗雑に映るというか、あそこまで綺麗な映像にならないらしいのだが、当時の観客にはあの様に見えた、と考えると改めて映画の力を感じる。

家族との関係性やサミーと映画についてこそフォーカスすべきだと思いつつ、個人的にとても好きなショットの一つとして、おサボりの日の映画撮影時、カメラを構えたガブリエル・ラベル(サミー)にクロエ・イースト(モニカ)が後ろから抱きつく情景が印象に残っている。

モニカは天真爛漫で熱心なキリスト教徒とあうキャラクターも愛らしくて面白かった。

映画の暴力性、描こうとしていたもの以外、監督をはじめとした製作陣ですら予期していなかったことが起こりうる偶然性、良し悪しに関わらずそうであることを教えてくれる映画であった。

だいぶ話は逸れるが、リュミエールの映画も背景の風に揺れる木々に驚きや感動を覚えたという点も追体験できるかもしれない。

母親の表情は秀逸。
北カリフォルニアで新居に入居するシーン、母の表情が幸せそうな父と反対に終始強張っていたのは強く印象に残る。鑑賞者として家族を傍観してきた者としては家族の幸せを壊してほしくないと思っていたがそれは叶わぬ願いなのだろうと諦めさせられる表情だった。

最後のジョン・フォード、スピルバーグの自伝的作品と称される事から予想はできつつも、ジョン・フォードのポスターを見た時にとても興奮してしまった。そしてデイヴィッド・リンチが良過ぎる。
Ran

Ran