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フェイブルマンズのssIのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

スピルバーグの映画という偏見もあるのだろうが、始終ホームドラマで割とありふれたような?話もめちゃくちゃ面白くみれてしまった。

印象に残ったのは、彼が撮った2つの映画にまつわるエピソード。
一つ目は、家族での何気ないキャンプシーンを編集してると映った"それ"。
"それ"を俳優の演技、ビデオカメラの映像、映画全体の演出で表現する巧みさ。さながら「お分かりいただけただろうか?」とでも言わんばかりに繰り返される映像。台詞はなくとも、観客はひとつの悲しい答えに辿り着いてしまう、映画のもつ暴力性にハッとさせられた。
二つ目は、プロムでの映画。
それまでサミー少年に暴力を振るっていたジョックスがオリュンポスの神々が如く雄々しく神聖なる者のようにうつっていた。
彼は喜ぶどころか「こんなことをしてどうするつもりだ?俺をあんなに素晴らしいもののように…」と叫び怒る。ありのままを撮っただけのつもりでも、サミー少年の手によって映画にすることで、魅力が何倍にも増す。

2つのエピソードに共通するのは、どちらも観客としては一度目にしているものだということ。映画の味を整えるのは編集が決めるということなのかも。
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