ハル

リディームチーム:王座奪還への道のハルのレビュー・感想・評価

4.2
バスケが好き、とりわけNBAが好きなら★5でも足りない。
純粋なドキュメンタリーとしても頗る質の高い作品なので、スポーツに興味がある方全般へオススメできる一作だった。
“リディームチーム”と名付けられた、アメリカのオリンピック代表メンバーが金メダルを取り戻すまでの道筋が事細かに描かれたストーリー。

当時のアメリカはオリンピックを軽視していた。
NBAの選手を送るまでもなく、大学やアマチュアの選手でも世界一位は楽勝、本気でそう思っていた。
そして、その奢りから勝てなくなる。
“今度こそは”とNBAの選手を送り込んだにも関わらず、またしても負ける。

世界各国のレベルが彼らの想定以上に上がってきた事、スター選手揃いでチームワークの築けないメンバー構成になってしまった事。
主にこの2つの要因からなんだけど、それでも国民からしたら
“バスケでアメリカが負けるのは絶対に許されない”

あの背景で何が起きていたのか、その真相が濃密に描かれていて、ファンなら涙もののシーン連発。
『星条旗を背負う』
それがどれほどの重圧を生み、責任を伴うものなのか。
選手間の畏怖すら感じさせる極限の緊張状態がヒシヒシと伝わってきた。

当時のトップ・オブ・トップの選手達を送り込んだ北京オリンピックの死闘の数々。
伝説の試合と言われているスペイン戦の舞台裏を含む秘蔵映像がふんだんに盛り込まれ、特に不幸な事故で亡くなってしまったコービー・ブライアントとレブロン・ジェームズのツーショットなんて、もう二度と見られない貴重なシーン。
僕は彼をデビュー戦から見ていて、引退するまでほぼ全ての試合をあらゆる手段で追っていたので感慨もひとしおだった(まだネット普及がされてなく、BS放送のないNBAを見るのは当時大変でした)
勝者のメンタリティや闘争心に置いて、“マイケル・ジョーダン”と“コービー・ブライアント”に勝てるアスリートは存在しない事を改めて確信。

“凋落からの奪還”
本気になった世界最強のアメリカがどれだけ凄まじいのか、その鬼気迫る感じを余すことなく体感できる素晴らしすぎるドキュメンタリーフィルムに仕上がっていた。
Netflixのドキュメンタリーシリーズはどれもレベルが高く、今後も期待しかないコンテンツ!
ハル

ハル