悪魔の毒々クチビル

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイトの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

3.5
MCUに潜む闇の世界の片鱗をご覧あれ


ブラッドストーンを巡るハンティングゲームの
お話。

モノクロメインで描かれる、一応MCU初のホラー作品と銘打った作品です。
監督はトムホ版「スパイダーマン」3作を始め、マーベル以外にも数多くの映画のスコアを作曲してきたマイケル・ジアッキーノ。これが初監督作品なのかな。
1時間弱なのでサクッと観られます。

「ムーンナイト」辺りで飽きたので、もう映画以外は追う気が失せていたんですけど今作は割と楽しみでした。
何故ならホラーだから……ではなく、エルサ・ブラッドストーンが実写で初登場しているから。
マーベル熱がピークだった頃、色々映画未登場のキャラとかも調べていてその中で特に格好良いと思ったのが彼女でした。
モンスターを様々な銃火器で駆逐するってことで、実写映えするだろうしわざわざ性別改変する必要もないだろうし今後出てくるブレイドとも関わりがあるキャラなので、出てくる可能性はありそうだなと数年前から期待していましたが、遂にやってきてくれました。

因みにブラッドストーンは一家の名前でもあり、魔法の石の名前でもあります。
インフィニティストーンとは別物なのがややこしい。
手にすると超人パワーとか長寿なんかが手に入るらしく、今作のエルサは長年家を離れていましたが父が亡くなった為この石を受け継ぐ為に久々に帰って来ます。

他の登場キャラについてもさらっと。
ウェアウルフもアニメ版スパイダーマンで見掛けたんだけど、あれはジェイ・ジョナ・ジェイムソンの息子が変身していたから完全に別キャラか。
まぁ、何てことはない、普通の人狼です。
あとテッドと呼ばれているアレ。
これまたたまたま知っているキャラだったので、「あ、こいつも出るのか」と。
今作の最強キャラな気もしますが、実は結構前に普通のモンパニ映画みたいなジャケと扱いで映画化されています。

内容に関してですが、ちょっと尺足りなかったかなって気はしました。
これまでのMCU作品とはまた異なる世界観ですが、それを冒頭のナレーションでさらりと説明して無理矢理飲み込ませて尚且つそこまで馴染みのないキャラをメインで二人も扱うにはあっさりし過ぎていたというか。
まぁ俺はエルサ目当てで観たから良いけど、作品の雰囲気はともかくそんなにキャラクター自身に興味が持てる内容だったかというと、どうなんでしょうね。俳優のファンならまだしも。

ブラッドストーンが放つ赤い輝き以外は基本モノクロなので、クラシカルなホラー要素が強いかと思いますが一番良かったのは古典ホラー調にアレンジしたいつものオープニングクレジットでした。
ウェアウルフの変身シーンを見るエルサなんかは如何にもって感じでしたが、ホラーっぽくしたいのかエルサが必要以上にビビっていてキャラ崩壊していたのは残念でした。
あとは腕切り落としたり剣が頭にちょいとめり込んだりと、そう言うちょいゴアもありますがモノクロなので苦手な人も割といけると思います。
ホラーな要素はあれど、ホラーな怖さは見受けられませんでした。

エルサも今作が実戦デビューなのと恐らく作風に合わせたことで、銃火器は使わずに斧とか剣でちょいと戦うくらいでそこも残念だったんだけど、戦闘自体は良かったので今後に期待したいです。

そこそこの作品だったなというのが観終わった率直な感想でした。
クラシカルホラーな雰囲気重視の割に映像や音楽押しで、そこまでホラーに振り切っていた訳でもないし。
新たな世界観を紹介程度にちょこっと描くこのやり方が吉と出るか凶と出るかはまだ分かりませんが、取り敢えず実写化して欲しかったキャラが出てきたことですし、フェーズ5以降の作品に新たな興味が出てきたので良しとしておきますか。
エルサの単独映画は今作の活躍程度だと難しそうなので、「ブレイド」辺りで再登場して欲しい。