カツマ

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイトのカツマのレビュー・感想・評価

4.0
真紅の夜が幕を開ける。定めの如く儀式の影で、血で血を洗うサバイバルがハンター達を待ち受ける。怪しく光るブラッドストーンを手にできるのはたった一人。そう、生き残れるのも最後に残った一人のみ。敵も味方もない、ただ強者だけに与えられる最強のハンターの証明。だが、その裏には真の意図が秘められていた。夜は更ける、怪物のための夜が。鈍く光る、まるで死を誘うかのように。

今作はMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)初のハロウィンスペシャルドラマであり、今後のMCUの世界観にも影響しそうなキャラクターを登場させる異端の中編である。時間は1時間ほどと短く、凄腕の怪物ハンターたちが遭遇した一夜の出来事をスリリングな筆致で描き出した。テイストは往年のホラー映画そのもので、このモノクロ版の方がオリジナル。後にカラー版も発表された。不気味な夜に暗躍するハンターたちは果たして狩る側?それとも狩られる側なのか?謎が謎を呼ぶ新展開。MCUの新キャラクターの躍動を是非とも目に焼き付けてほしいと思う。

〜あらすじ〜

モンスターハンターのジャック・ラッセルは、恐る恐るブラッドストーン家の扉を開ける。そこには腕利きのハンターたちが集っており、ジャックは彼らと交流しながら、腹の探り合いのような会話を交わした。その中には死んだユリシーズ・ブラッドストーンの娘、エルサも含まれており、義母のヴェルーサから家出をした彼女への風当たりは強かった。
ユリシーズ・ブラッドストーンは彼の死の後、謎の魔石、ブラッドストーンを譲る者を決めるため、また新たなリーダーを指名するために、屋敷にハンターたちを集めたのであった。ユリシーズからの遺言は、ヴェルーサによってハンターたちに伝えられ、エルサも特別扱いされないことが説明された。ブラッドストーンは森の中に解き放たれたモンスターに埋め込まれている。ハンターたちは森の中に入り、それぞれにモンスターを探しつつ、ライバルのハンターたちを殺そうと画策するも、ジャックだけは他のハンターたちとの戦闘を何故か避けていて・・。

〜見どころと感想〜

非常に単純明快。ハンターたちが迷路の中でブラッドストーンを持つモンスターを探しながらも、エンカウントしたハンターたちとバトルする、というエンタメ性抜群の物語である。なので、2時間の映画の後半部分だけを作品化したかのようなイメージ。いきなりのクライマックス感に加えて、ラストには無双するウェアウルフの稲光るアクションシーンを楽しむことができる。

今作を面白くしてくれる大きな要素として、主演のジャックをガエル・ガルシア・ベルナルが演じているという点だろう。彼はメキシコを代表する俳優で、映画デビュー作の『アモーレス・ペロス』からずっとスター俳優として活躍してきた。なので、彼がMCUに参入してくれたというのが何より嬉しいし、ジャックというキャラクターにもピシャリとハマっており、今後の再登場が非常に楽しみだ。また、エルサ役のローラ・ドネリーは恐らく今後のキーパーソンになり得る役柄を演じており、『プレイド』などを筆頭にしたMCU版ホラーサイドでの再登場に期待できそうだ。

ハッキリ言って、今作単発だけではMCUとの関連性は見つけづらい。ブラッドストーンはインフィニティストーンとは違う石のようで、ダニエル・ブリュール演じるジモがブラッドジェムと呼んでいる物と同じようであるが、キャラクター同士の相関性はほぼ見えてこない。それでも登場するモンスター、マンシングはジャック、エルサと共に今後の再登場もあるかも?正直、最近ピンと来ない作品が続いているMCUだからこそ、これらの新しいキャラクターと早いうちに再会させてほしいと切に願う。

〜あとがき〜

昨年のハロウィンの時期に配信され、鑑賞を先送りにしていた本作をようやく観てみると、これがまたなかなか面白い。MCUの映画が最近面白みに欠けるのは、ドラマの方に力点が寄っているから?なのかも。確かにソーやアントマンの新作は大作としてお金がかかっていましたが、こういうミニマルな作品で十分楽しめるんだなぁとしみじみ感じてしまいました。

新キャラではガエル・ガルシア・ベルナル演じるジャック、ローラ・ドネリー演じるエルサが重要キャラの予感。最近のMCUは新キャラ同士の相関性がどうも下手なので、そろそろ大胆なクロスオーバーをさせてほしいですね。
カツマ

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