イチロヲ

痴女昇天のイチロヲのレビュー・感想・評価

痴女昇天(1977年製作の映画)
3.0
余暇を楽しむために別荘を訪れた富裕層の夫婦と女中が、3人組チンピラ・グループの襲撃に遭ってしまう。拘禁・凌辱をテーマに扱っている、日活ロマンポルノ。ワタナベプロダクション製作。

旧世代の性観念のままで頭が凝り固まっている会社社長(鶴岡八郎)が、権力者への鬱憤を暴力で発散させているポストシラケ世代の若者に振り回されてしまう。後妻(杉佳代子)と女中(中野リエ)が実質的なダブル・ヒロインとなっている。

ワン・シチュエーションの拘禁ものなので、舞台劇の雰囲気がキョーレツに伝わってくる。役者陣が鬼気迫る演技を見せてくれるため、それなりに牽引力が備わっているが、自分の立場や境遇をセリフで逐一説明するところが笑える。

性観念を刷新することができない、旧世代の権力者に対する皮肉として捉えれば、まあまあの出来栄え。ラストには「おくちアングリ」な膝カックンが待っており、置いてけぼりの状態で強制的に終了するが、それもまた「この時代」ならではの映画の妙でもある。
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