mako

オレンジ・ランプのmakoのレビュー・感想・評価

オレンジ・ランプ(2023年製作の映画)
4.0
《「認知症になったら人生終わり」なんかじゃない》
◎80点

39歳で若年性認知症と診断されながらも、働きながら講演活動を続けている丹野智文さんの実話に基づく物語。

夫・晃一役に和田正人。
妻・真央役に貫地谷しほり。

認知症と聞くと、怖いし、なりたくないし、なったら普通の生活はできなくなる、家族に負担をかけると思いがちですよね。
本作ではその認識を変えてくれる。工夫次第である程度普通に生活ができる事を知りました。

冒頭、テレビ取材に応じる夫婦にスタッフが、「認知症は大変でしょう」みたいな事を言ってて、そういう話を引き出したいようでした。これは一般的に私たちが思っていることだなと思いました。
確かに、認知症と診断された当初は、本人も真央も戸惑い、驚き、不安でこの先どうしたらいいのか分からず、特に晃一は落ち込んでいました。
仕事でもミスが増え、退社を決意するまでになる。
真央は、私がしっかりしなくてはという思い、心配するあまり何でもしてあげようとする。
それが逆に晃一にとって不満となりやる気を削ぐことに。

そんな時にある出会いがきっかけで二人の意識が変わっていく。
認知症との向き合い方を知り、不安だった日々から抜け出すことができた。
家族の理解だけじゃなく、会社(上司や同僚)も理解してくれて、素晴らしい職場だと思いました。
認知症の映画はいくつか観ましたが、本作のように前向きで心が温かくなる映画は初めてでした。
観て良かったと思いました。

劇中で印象に残った台詞。
「できることを奪わないでください」
「困った時だけ助ける」
「認知症になっても人生は終わらない」

メモ📝
企画協力: 丹野智文さん
1974年、宮城県生まれ。ネッツトヨタ仙台に勤務。39歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断される。診断後は営業職から事務職に異動し、勤務を続けながら、不安を持っているご本人のための物忘れ総合窓口「おれんじドア」実行委員会代表を務める。自らの経緯を語る講演活動にも力を入れている。

「オレンジ・ランプ」とは
認知症のシンボルカラーのオレンジと、みんなで灯せば世界を明るく照らすことのできるランプ。
この二つを組み合わせて、認知症になっても暮らしやすい社会づくりの象徴となる願いを込めたタイトルです。


観客 8人
劇場鑑賞数 #78
2023鑑賞数 #86
mako

mako