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銀河鉄道の父のumisodachiのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)
3.8


宮沢賢治と家族との関りを描いた作品。原作は小説。

最近、仕事が忙しくて全然感想書く時間がなくて!なのでストーリーは割愛。国語の授業をちゃんと聞いていれば誰でも知ってることがほとんどだし。

息子を溺愛する父親の目線で、宮沢賢治を中心とする家族のつながりを描いていて、ド直球の家族映画になっていた。ただ、ご存じの通り宮沢賢治自身も早く亡くなるわけで、「家族愛」というテーマの次に来るのは「死」。愛する者たちの生と死を乗り越えていく姿を丁寧に描いた作品でもあった。

妹のとしを演じた森七菜が素晴らしく、彼女が登場しているシーンはすべて輝いていた。賢くて包容力があり、常に賢治を支え続けたとし賢治を語る上で欠かせないキャラクターだとはいえ、ここまで活き活きと造形するのは容易ではないだろう。

特に、年老いて痴呆が進んだ祖父(田中泯)を引っぱたいて「キレイに死ね!!」と言うシーンは最高で、あのシーンだけでこの映画の価値はあると言っても過言ではないと思う。ほどなくして彼女自身も死んでしまうということが観ている側にはわかっていることもあり、としの生きる哲学と家族への愛が言わせた「キレイに死ね」は、映画が終わってもずっと私の脳内に響き続けていた。

宮沢賢治を演じた菅田将暉は、ややエキセントリックすぎる気もしたが、そこはさすがの役所広司がしっかりと受け止めていたので浮くこともなく。ときおり童話のような質感を見せる映像も魅力的で、なかなかの意欲作に仕上がっていたと思う。とよの死後はやや駆け足なので、そのあたりが物足りないと言えば物足りないかも。














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