N・Pを配信している動画配信サービス

『N・P』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

N・P
動画配信は2024年4月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『N・P』に投稿された感想・評価

ワンコ

ワンコの感想・評価

4.8
【ループ/答えのない答えを求めて】

60分の短い作品で、無声映画だったこともあって、字幕に集中したり、結構見入ってしまった。

とても実験的で、映画制作としてはとても面白い試みだと思う。

ずいぶん前になるが、この吉本ばななさん原作の「N・P」を読んだことがあったので、記憶を辿りながらの鑑賞だった。

吉本ばななさんの小説は、お父さんの吉本隆明さんのターミノロジーとは違って、難解な言葉は出てこない……が、言葉使いや表現が巧みで、一度目を通す程度で読み過ごすと、もう一回読み返さないと登場人物の心情など深く感じ入ることが出来なかったりする。

監督や俳優さんの舞台挨拶付きの上映回で、監督が、たまたま無声映画にしようと思ったと、割と動機は曖昧だったようにお話しされていた。
ただ、吉本ばななさんの比較的平易な言葉使いの中の巧みな表現を考えると、映像と共に、或いは、映像と交互にサブタイトル、つまり、字幕を観る(読む)のは、さながら小説を読みながら、場面を想像しているような感覚にさえなった。

この「N・P」は、登場人物の作者も翻訳者も自ら命を断つなどオカルトちっく、サスペンス的、更に、重いテーマである近親相姦などは、それまでの吉本ばなな作品に取り上げられたテーマを一つの作品に盛り込んだような小説で、何か伏線や回収、或いは、結論めいたものを求めるというより、多くは読者に委ねられている感じがすると同時に、様々なことが盛り込まれたために、読者もやや混乱するんような気もする。

ただ、「キッチン」のようにストーリーがしっかり判る作品は、無声映画よりも、俳優さんが喋って演技する当たり前の手法の方が良いように思うが、この原作が小説「N・P」だからこそ、映画「N・P」の手法が活きたのではないかと思ったりする。

(以下ネタバレ)

僕は、大きなテーマは、近親相姦を通じて愛とは何かを考えることだと思う。

親子で愛し合ったり、異母兄妹とはいえ、兄妹で愛し合うということの重さは、多くの意味で人を追い詰める。

映画「山の焚火」や「三月のライオン」はそうだし、村上春樹さんの「海辺のカフカ」にも、それを伺わせるような場面はあるが、どんな相手であれ、人を愛するというのは、どんなことなのか、思考を巡らすことになる。

「キモい」みたいな簡単な言葉で片付けることが出来ない世界が、そこにはあった。

翻訳者の死は、それを理解せずには翻訳は出来ない、そして、知ろうとすればするほど苦悩せざるを得ないのだという比喩なのだと思う。

この作品を見たからと云って、きっと結論めいたものに辿り着くことは出来ない気がする。

だからこそ、

「もう会うことはないと思うけど、でも、またいつかどこかで」

なのだ。

人間は、愛とは一体何なのか、永遠に考え続けることになるのだ。

本棚を探して、もう一度、原作を読んでみたいと思う。
吉本ばななさんの同名小説を、映像作家リサ・スピリアールトさんが実写映画化した作品。

原作未見で観る映画ではなかったです。
かなり後悔してます。

出演者は台詞らしい言葉を話してるように見えますが、状況音やノイズミュージックが響くのみで、音声はカットされており、その代わりに小説の文体に限りなく近い文章がテロップのように映像と同時、または映像の合間に表示される方式になっていて、ある意味小説を読んでいるような、サイレント映画を観ているような不思議な没入感はありました。

映画自体は小説を咀嚼されて作られているのでしょうが、60分という短さのため、長編小説のエッセンスしか映像化されておらず、補完する文章表示だけでは、全容を把握できる内容にはなっていないので、そこには原作を読んでいる前提の映画になっている難しさはありました。

しかし、小説を読むような感覚で映画を味わうという意味では、想像の余地を残している映像の断片が意外と無理がなく、死の関連性や翻訳者という職業の業のようなもの、残された恋人、子供たち、近親相姦といった要素が、小さな世界と限られた時間の中に凝縮されていて、それが映像となって吐き出されたものの価値を高めています。

一方で、俳優ではない方がメインキャストとなっている部分と演出としての違和感も若干あるので、そこを差し引いた上でも、原作の読者がどこまで楽しめるのかは、改めて原作を読んで体感したいところではありました。
るい

るいの感想・評価

3.8
吉本ばなな原作N・Pの実写化。
声だけが無い映画。

すごく面白かった。小説を読んでいるような、映画を見ているような。

私は小説を読むと情景が頭の中で再現される。音もするしざらっとした感覚も残る。セリフは自分の声で読む。まさにそんな感覚を映画として"見た"。

N・P自体読んで無いし、吉本ばななさんの本も読んだ事ないので再現度とかはわからないんだけども、新しい映画のアプローチとしてはとても楽しく見れたと思う。

ただ、ミニシアターで見たのと私の眼鏡悪いのとで仕方ないんやけど、字幕のフォントが細いし小さいしで見えん。あと、BGMがやたら大きいのが少し気になった。

アメリカで自殺を遂げた著者。遺された双子の子どもと著書。それを翻訳する者の自殺。そして謎の女の登場と、自殺した翻訳者の彼女の物語り。

夏に見たかったかも。

『N・P』に似ている作品

トニー滝谷

上映日:

2005年01月29日

製作国:

上映時間:

75分

ジャンル:

3.8

あらすじ

孤独でも平気だと思って生きてきたトニー滝谷はある時、1人の美しい女性に恋心を覚える。彼女が妻となり、彼の人生の孤独な時間は終了したが、束の間の幸福は妻の事故死で失われてしまう。残ったのは、…

>>続きを読む

夏の娘たち~ひめごと~

上映日:

2017年07月01日

製作国:

上映時間:

75分
3.4

あらすじ

山あいの小さな町に直美(西山真来)は養父の最期を看取りに戻って来た。義理の弟・裕之(鎌田英幸)との再会はふたりのあいだに秘密の過去をよみがえらせる。彼らは姉と弟の関係を越えて男女の仲に至っ…

>>続きを読む

ハーモニー

上映日:

2015年11月13日

製作国:

上映時間:

120分

ジャンル:

3.5

あらすじ

アメリカで発生した暴動をきっかけに世界を戦争と未知のウィルスのるつぼに叩き込んだ「大災禍(ザ・メイルストロム)」。政府は弱体化し、やがて、人間こそ最重要の公共リソースであると位置づける高度…

>>続きを読む

落下する夕方

製作国:

上映時間:

106分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.2

あらすじ

リカは4年間一緒に暮らしてきた健吾から突然別れを告げられる。不思議な魅力を持つ女性・華子に心を奪われたというのだ。健吾が戻ることを信じて、孤独な日々を送るリカ。ところがある日、華子がリカの…

>>続きを読む

三度目の、正直

上映日:

2022年01月22日

製作国:

上映時間:

112分

ジャンル:

3.5

あらすじ

月島春は、パートナーの連れ子・蘭がカナダに留学し、言い知れぬ寂しさを抱えていた。そんな時、公園で記憶を失くした青年と出会う。過去に流産も経験している春は、その青年を神からの贈り物と信じ、今…

>>続きを読む