月うさぎ

ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実の月うさぎのレビュー・感想・評価

3.8
音楽で世界を変えた男の真実
という副題はちと大袈裟かと。
ビートルズ以前のリバプール時代。ジョン・レノンがいかにして生まれ育ち、人々と出会い、羽ばたいたかを、ザ・クオリーメンのメンバーやアートカレッジの学友達の証言を元に構成する、少しレアなアプローチのドキュメンタリー。ストロベリー・フィールズの現在の姿(例の門じゃなくてね)を初めて見た。なんと!ビックリ。
普通のビートルズファンには特にお勧めはしません。ジョンのファンのための映画。
美術学校の女友達との(まともな)友人関係があったのは意外でした。シンシアの事も良く知っている女性で、興味深かったです。
この映画の後に「メイド・オン・マージーサイド」(wowow番組)を観ればかなり当時の様子がわかることでしょう。
私はビートルズファン歴ン10年ですし、昔からジョン派で個人的好みとしてジョージLOVEな人間なのですが、近年、バッカートニーだと思っていたポールさんこそがやはり天才だったとようやく受け入れました。ロックの歴史を変えたビートルズにはポールの音楽性が欠かせなかったと信じます。
IFという前提が無駄だと承知で、もしポールとジョンが出会わなかったなら?
ポールはミュージシャンになっていたでしょう。
でもジョンはイラストレーターか漫画家になっていたでしょうね。
ジョンはアーティストであり非常にユニークなキャラクターの男であり魅力的な人間ですが、必ずしも音楽命な人ではないんですよ。
ジョンその人の声でビートルズは妥協であり、ロックとしての生命はデビューの時点で終わってた。みたいなことを言っててですね。え〜?!なんですけど。
まあ、ジョンの時々の発言は必ずしも本気と思わない方が…(-.-;)

これはそういうコンセプトのドキュメンタリーなんだなと。リーゼントと革ジャンでとにかく熱く暴力的に青春してるのがROCKで、そのパワーこそ貴重。

貴重ですよ。それがなければビートルズのあの結束はないので。
親分風ふかせて圧をかけて周りを従わせるような事はビートルズの間にはなかった。
バンドとしてはかなりフェアな関係性のグループでした。
ポールとのライバル関係。ビートルズ4人のキャラクターの相性。ブライアン・エプスタインの愛と献身。この全ての化学反応がTHE BEATLESです。

ここにいるのはビートルズ以前のジョン。
愛すべき不良の、母を失い可哀想な…と思うほどには愛に恵まれていない訳でもなかった実は割と裕福だった少年。そして人並み外れた天邪鬼。

インタビューに答えていた仲間たちの一人に
ジョンと発声と話し方がそっくりな人がいました。
彼が言った言葉に笑ってしまった
「ジョンはやがてチャリティーを多くやるようになったが、あれは若い頃の悪行の罪滅ぼしだよ」
彼は正直。有名人=偉い バイアスがかかってません。いいなー、あの人。

Working Class Hero から始まり エンディングはHELPで♪

ドキュメンタリー映画としての質を考えると
「スチュアート・サトクリフ - 5人目のビートルズ 」の方が断然いいです。
ジョンの心のうちも、スチュアートとの関係を観た方が理解できると思います。
彼が本当に愛した人はポールではなく恐らくスチュアートだっただろうから。
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