パンプキンローラー

ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実のパンプキンローラーのレビュー・感想・評価

4.0
このドキュメンタリー映像は、ジョン・レノンの幼少期から、ビートルズの結成に至った十代後半頃までの、リヴァプールで生活していた頃を知る人たちのインタビューを中心に編集したものです。

この映像を、ビートルズについてとか、ジョン・レノンの伝記的な内容を期待して観ると、期待外れかもしれません。
ビートルズ結成に至るまでのジョンの人格形成期をたどる、資料的価値が高く興味深い内容で、ジョンの人間的な背景の一端を知ることができました。

ジョンがミミおばさんに育てられたことは知られていますが、そうなった経緯や、ジョンの両親について、ジョンの生まれた頃のリヴァプールについて等、初めて知ったことがたくさんありました。
学生時代のジョンの様子は、数人のクラスメートが語っていました。
決して優等生ではないけれど、クラスメートからも先生からもいろいろな意味で一目置かれる存在だったようです。

音楽に開眼したきっかけ、クオリーメンという学生バンドを作った頃、ポール・マッカートニーとどのように出会ったのか、ジョージ・ハリスンが加入した経緯、ハンブルクへのツアー、そしてリンゴ・スターが加入した理由など、当時ジョンに近かった人たちの話は非常にリアルで、ジョン・レノンがとても身近な存在に感じられました。

ジョンがミミおばさんと暮らしていた家は今もあり、両親と暮らせなかったものの恵まれた環境で生活していたことが伺えました。
母ジュリアと交流できるようになった十代後半に、母の死という悲劇が起こります。
両親の不在によって、ジョンは心に満たされない思いを抱えていたであろうことは想像に難くありません。
音楽にのめり込み、クオリーメンからビートルズの結成、破竹の勢いで人気バンドになりつつある時期であっても、です。
最初の妻シンシアとの生活も順調とは言えないものでした。

しかし、それもジョン・レノンの真実です。
とにかく、ジョンについての貴重な情報が満載の映像です。
ジョンのファンはもちろん、ビートルズのコアなファンなら観るべき映像でしょう。

ただし、この映像を楽しむためには、ジョンに関する基本的な知識が必要だと思います。
ジョンに興味のない人には全く響かないでしょうね。