ボギーパパ

山女のボギーパパのレビュー・感想・評価

山女(2022年製作の映画)
3.4
劇場2023-51 ES

久しぶりに渋谷で映画鑑賞する機会。ユーロスペースは相変わらず何やら一風変わった感じの方々で盛況となっている。この劇場はやはりそうでないとね(^^)
さて、ハシゴの1本目で休養十分なので気力充実。本作に臨む。

さてタイトルの『山女』。その昔、坂東眞砂子さんの『山妣』という小説を読み、今もそうだが女性が家に縛られ生きづらい上に、ムラ社会のカースト的呪縛の恐ろしさに強い印象を持った。詳細は省くがまぁ凄まじい小説であった。
また読み返したくなったなぁ、、、
あの作品と比べながら鑑賞したいと思い、そのチャンス到来!

本作主人公のりんは、高祖父?の出した火事が原因で、田畑は取り上げられ村八分そして「汚れ仕事」で食うや食わずの生活をしている。その「汚れ仕事」に関しての冒頭のショッキングなシーン!18世紀の東北であれば、偏東風=やませによる凶作で村全体が飢えているため、こうしたこともあっただろう、、、
とにかく過酷な環境。

土地=収入と、家族と、社会=ムラの呪縛からは、おいそれと抜け出すこともできず諦念。

しかし生きている。父権に縛られつつも、弟を思って生きている。

そして遥か遠くに見える早池峰山に、山の向こうに別の自分を想いを馳せ生きている。

ストーリーはこの食うや食わずの状況から父が庄屋の米に手を出してしまう。その罪をりんは庇い自身の仕業と嘘をつき、家を出て山に入る。

と、ここまで主演の山田杏奈さんの演技に魅了される。目力がスゴい!意志をまっすぐに表現する視線の確かさがこちらにストレートに伝わる。いい役者さんだ!

ただ、本作大変残念なのは山での生活シーンが短すぎる。そりゃ泰造がさっさと探しに来たから仕方ないけど、山女をタイトルとするならば、着物がボロボロになり、顔も煤けて、もっとケダモノ的な生活をしていないと、、、

山妣はこの辺りの描写が素晴らしかったので記憶に残っている。ここがとても残念。まぁ、全体の尺からして仕方ない事なのだろうが、、、

ラストもやや残念!かつての大魔神・大映映画のようであった(^^)
ボギーパパ

ボギーパパ