真魚八重子

aftersun/アフターサンの真魚八重子のネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

思わせぶりなオチで終わる映画について、監督が「ラストは、観客の皆さんに委ねるので、それぞれで考えてほしいと思います」というタイプのやり口が嫌い。この映画の監督インタビューを読んだら、まさにその典型だった。色々あり得る魅力的なオチの中から、ひとつ決定する勇気くらい持ってほしい。

31歳の父親と11歳の娘ソフィの、古びたリゾート地での休暇。ビデオカメラの記録が多用されるので、ブンブン振り回すから画面酔い必至。時折、31歳になったソフィアがそのビデオを見返している映像が入る。彼女はレズビアンだ。そこから、父親が自分のセクシャリティで苦悩していた可能性も感じられる。

娘のいない映画の部分では、父親が深夜の海に向かっていくシーンなど、自殺の予兆にしか見えない場面がある。メンタルを患っているのは、表情の暗さや一人きりのときに泣いているので確かだろう。
正直、旅のシーンがつまらないのがしんどかった。カラオケ大会とか、プールで泳ぐとか水球とか、楽しい旅の映像じゃない。

ダンスシーンで「Under Pressure」がかかり、急にクラブのような光の明滅が起こって微かに現在と過去が出会っているのが見える。そこだけはハッとする。

オチの判断を委ねられているので、星も委ねることにして、つけないでおこう。
真魚八重子

真魚八重子