けろけろ

aftersun/アフターサンのけろけろのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.0
多くの人が、自分の昔話を思い出すんじゃないか。少なくとも僕はずっと自分に重ね合わせて見ていた。
というのも、子ども視線、というのが本当にうまく映像になっていたから。しかも、その「子ども」というのが、ちょうど思春期に差し掛かる頃で、世界の見え方がちょっとだけ変わる微妙な時期。見え方が変わるだけじゃなくて、行動も変わる。実際にソフィの言動も、その短い期間の中で変わったりする。
徹底的に子ども視線を貫く「主観的な」映像(ビデオカメラという、まさにソフィの視線を映像化してくれる装置も相まって)の中には、ひと夏の特別な時間とその幸せな時間が終わる─二度と来ないかもしれない─危うさが混じっている。そのため、起伏はない展開だが、映像的に見ていて飽きない。
ソフィが大人になってからどうこのビデオを見たかというのは、もうちょっと語っても良かったかもしれないな、と思うけど、それだと台無しか? あまり多くを語らない映画なので、見るときはちゃんと見ないと、大事な情報を見逃してしまうかもしれない(それこそ自分の昔を思い出す旅に出てしまったりすると)。
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