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aftersun/アフターサンのたのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

aftersun アフターサン
日焼け跡に塗るクリームのことらしいです。
映画でも何回かクリームを塗るシーンがありました。
父親に任せたり、カップルを眺めたり、
自分で塗ろうとしたり、やっぱり父親に塗ってもらったり。
そのほとんどがソフィの目線でした。

ソフィの目線で紡がれることにより、彼女の気持ちが些細なシーンに垣間見えるようになっていました。
この映画には余白が多く、語られないことがたくさんあります。
父親が怪我をしていた理由、暗く傷ついている理由、2人でここにくる理由、、。
それらのほとんどは、ソフィも知らないことだと思います。だからこそ、ソフィの気持ちやその変化が伝わってきました。

ヨーロッパでは、ホテルから出ずにバカンスをするのが流行っていて、2人もホテルのプールで過ごしている…
トルコは比較的安い旅行先で、ドリンクなど全て込みのパックでもない…
お金がないながらも娘を旅行に連れて行ったのが分かる…
と、試写会終了後のトークショーで山崎さんが仰っていました。こういった点に気づくとより惹き込まれる、とも。
多くを語らない映画だからこそ、あらゆるところにストーリーを感じられる余白がありました。そこに気づくと、ハッとすると同時にこの映画にジワーっと入り込んでいく気がしました。

あの時代のあのカメラ、あの画質と音質。
ノスタルジックでエモーショナルで、
繊細で色褪せていて、普通で、
思い出をそのまま映画にしたような作品です。
ロケーションも映像も綺麗で見入ってしまう。
動きのないワンカットの尺が長めだったり、かと思えば"今のソフィ"の映像や目線が瞬間的に映し出されたり。
思い返せば表現の幅が広いのですが、そのバランスが絶妙で、鑑賞中は気づいたらその世界に浸っています。

自分にしか分からない感情を大切にしたいと思いました。
た