コマミー

aftersun/アフターサンのコマミーのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.3
【終わりと始まり】


見終わった後、こんなにも"切なさと空虚さ"を感じた作品は幾度となく観てきたが、今回は格別それを感じた。


本作は出来れば頭をまっさらにした状態で臨んでほしいのであまり内容は話さないが、本作は"親と子"だからこそ感じる、"感情の乖離"がしっかり表現されていた作品だと感じたのだ。それはこの親子の"小さくも大きな行動"で徐々に明らかになっていくと言うか、本作の"音楽"でも、全編を通してそれを感じるようになる。何とも切ないと言うか…空虚と言うか…娘"ソフィ"の純粋さの陰に隠れた父"カラム"の"ある事"に対する"苦悩"が見えてきて涙が出た。
まさに"希望と絶望"が交差する作家性の強い作品と言えるだろう。

そんな親子を演じた"ポール・メスカル"と"フランキー・コリオ"には脱帽である。そしてそんな親子の物語を自身の経験を基に引き出した、"シャーロット・ウェルズ"も素晴らしいと感じた。

ある意味、「コロンバス」や「アフター・ヤン」と言ったコゴナダ作品で感じた感情と同じに感じた。両作で見えた"すれ違いの感情"が、本作にも感じられて目が離せなかった。

他人事とは思えなかったので、劇場で本作を見れて本当に良かったと感じた。
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