特別な気持ちにさせてくれたということは、間違いなくて。
ただそれは、自分自身のとてもパーソナルな経験と、この作品が不思議な共鳴したからなのか。
でも、おそらく大切な人との別れを経験している人ならば、愛おしくも儚い、刹那的な想い出がこの映画によって呼び覚まされるのではないだろうか。
古いビデオカメラを巻き戻す音。
'90年代のポップス&ロック。
なにも細かな説明の無いまま、父と娘の言葉のやりとりから浮かんでくる二人の事情。
ちょっと不思議な360度の最後のあのシーンには、心底感動してしまった。
今は父親と同じ歳になった娘の心から湧き上がった物語。
そして今なら少しだけ、その時のパパの気持ちが分かる気がするよ、と、… そんなメッセージを込めたのだろう。
あの頃は恥ずかしくて踊れなかったけれど、扉の向こうのダンスフロアでは、父親と楽しく踊っているのだ。きっと。