「11歳のとき何してた?」ってセリフに対して、31歳になった主人公が、今度は「31歳のとき何してた?」と聞いたときの答えが、がこのビデオ(映画)。
もう一度、深夜の平日(次の朝が遅い日)に家でゆっくり観たい。
「町山&藤谷のアメTube」見たら、初っ端で「二回観るとよく分かる」と言っており、やっぱりなぁと。
解説を聞くと、より切ない部分が浮き彫りになって胸がギュッとなる。これは、ただ「一夏の輝かしい日」の映画ではないのだ。
「君の名前で僕を読んで」のようにストーリーはない。
この評価点なのは「期待し過ぎてしまった」のが一点と、ただ「一夏の父と娘の旅先での出来事」として、前情報をきちんと入れるべきだったなぁと。
入れていないから、ストーリー性に期待してしまったので。
ただ後からじわじわ来ることには間違いなく、思えばソフィア・コッポラの「SOMEWHRE」を観たときもそう。最初はピンと来ずだったくせに、映画館の再上映は観に行ったなぁ。
パンフレットも読んだのだけど、監督も俳優も大きなことは語らず、フォトブック要素が強い造りだった。
私も父との思い出がほとんどなくて、でもなけなしの少ない思い出は存在していて、その眩しさを本作に重ね合わせてしまった。だから心を刺された映画だった。
ちなみにうちはトルコ絨毯はないけれど、謎の笛という遺品はあったはず。
生前から「あげる」と言われていたが、マジでいらないし、どこへ行ったかも不明。でも父が買った謎の絵画とかは、今も飾られています。
ポスターのメインカットの写真、あえて折り目がついているのは、そっかこれ現像した写真なのかな。
折り畳んで持ち歩いて、お財布とかに入れた跡なのかな、と思ったらより愛おしくなった。
以下、「町山&藤谷のアメTube」より
・11歳の女の子と31歳のパパは、2人で旅に出れる最後のチャンス。思春期が始まってしまうから、きっと無理。確かに
・太極拳やふとしたシーンで、お父さんが精神的に落ち込んでいるのが分かる
・ソフィは嫌がるけど、「Under Pressure」で踊っているシーンは、クラブで踊っているときに流れる
・トルコ絨毯のくだり、気づかなかったので、もう一度見たい!
・31歳のソフィの描写と、ラストシーンで空港でバイバイしたはずなのに、ダンスが好きだった父がダンスホールに消えていくことから、この後自殺してしまったのかなぁと。
と思っていたら、監督がインタビューで「夏休みが終わって彼女と別れてさよならと言って彼がドアを通って出ていくとき、そのときがソフィがカラムに会った最後になるんですが」とハッキリ言っていた。
ビデオを見るシーンもうなされたシーンも、パートナー・子供がいるのに幸せそうではなく、苦しんでいて消化しきれていないソフィを見ると、懐かしい素敵な夏の思い出ってよりも、確かに危うくも、あんなに笑っていた父なのに「なぜ?」が多く残っているように見えた。
パンフレットで改めて切り出されたシーンを写真で見ると、どれも32歳の私と同じく当時のカメラで撮った、普通の写真なんだよね。
・印象的なセリフとして「11歳のとき何してた?」と「同じ空を見上げたら、パパも一緒だと思える」といった意味のセリフが、「もう父がいない」ことを明示しているんじゃないかなぁ。