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aftersun/アフターサンのKasaのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.5
11歳の娘と31歳の父。2人のひと夏のバカンスを描いた作品。
ハンディカムの映像と31歳になった娘の記憶とが混ざり合い、エモーショナルな情景が浮かび上がる。
派手な筋書きも演出もない中、ここまで惹きつけられる作品が作れたのがすごい。ハイセンスな若手監督の次回作、本当に楽しみ。映像はもちろんのこと、BGMのアンビエントやUKの名曲たちの仕事も素晴らしかった。

女の子は、否が応でも11-12歳あたりでオトナの入り口に立たされる。そして30歳という年齢は、男女共に真のオトナの入り口のように思える。絶妙な年齢設定により、「最後の夏」に様々な意味合いを感じた。

ハンディカムという媒体も良かった。スマホほど正確に記録できないからこそ、思い出を美しいままに留めておけるんだよね。何もかもを残せることは、とても残酷なことでもある。

自分の思い出や今の状況が重なり、思い悩まされるシーンも多々あった。30になったとき、自分はどんな面持ちで鏡をのぞくんだろうか?
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