ももいろりんご

aftersun/アフターサンのももいろりんごのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.5
せっかく観たけれど、やっぱりなぁ…予想通り苦手な味付けのお話でした。
だって委ねる系&切ない過ぎるんだもの。
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11歳の夏、ソフィは普段は別れて暮らす父親とふたりきりで夏休みのバカンスに出かける。その20年後、父と同じ年齢になった彼女は、あの夏の日々に撮ったビデオを観ながら父と当時の自分を思う。
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パパと娘のお話。
夏のトルコのリゾートへ向かう親子。ちょっとした旅のハプニングや出会い、お互いがカメラでお互いを撮り合い、インタビューしてみたり。夏の日差しがキラキラで楽しい夏の思い出を作る、そのために来た(はず)。
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でもわりと早いうちから、パパのカラムは人知れず悩みを抱えていることが、映像の端々から受け取れる。孤独…死の影さえ漂う。
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大人になったソフィの今の生活や姿が合間に差し込まれ、当時のビデオを観てるんだなとわかる。記憶が過去に飛ぶ。まだ若かった父。でもこの時まだ子どもだった娘に、父が何に苦しんでいたのかは、わかる由もなく。
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兄妹に間違われるくらい若いパパ。娘のためにちょっと無理してこの旅の計画をしたっぽい。人のタバコ拾うくらいお金なさそうだったのに、ペルシャ絨毯買っちゃうんだ。何かを残したかった…?
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具体的なシーンは何もなく、でも観ている者はカラムがもうどこにも居ないことを感じてしまう。
「何が父を苦しめていたんだろう」ソフィの言葉にならない問い、もどかしさが溢れてくるように、ビデオテープを巻き戻す音が聞こえる。ヒントを探そうと何度も何度も。
後悔するにも彼女は幼過ぎた。
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空を見上げて太陽を見つけたら、離れ離れでいてもそばにいるのを感じる…11歳のソフィがカラム言う。やっぱり切なすぎる。