このレビューはネタバレを含みます
序盤から自分好みなカメラワークに惚れ惚れして、すぐ好きな映画にリストインすると確信した。
最初は接写のカットに印象づけられたのだけれど、後半のお気に入りシーンは遠くから二人を眺めるような構図のものが増えた。
バスツアーの半ばカンフーをする二人のシーンで、ズームアウトして看板の一部分のWe know the perfectが同じ画に収まったときが最高だった。最高すぎて、終わりが目前の旅に余計に寂しくなった。
blurやR.E.M.とか親世代のヒット曲の懐古に心を持っていかれそうだけれど、書き下ろしの劇伴も良い。やけに繊細で。
under pressureのシーンは、あの曲のもつ刹那感を再発見する時間だった。
観る前はコッポラのsomewhereを彷彿とさせる設定だなと思ってしまうけれど、雰囲気も視点も違う。アフターサンはあくまでソフィー目線の物語。
合間に入る大人のソフィーのシーンに散りばめられたものでいちいち寂しさを呼び起こされる。
そしてタイトルがこの作中におけるノスタルジーを言語化するに美しい単語だとわかる。
またいつかだらだらと過ごした季節を思い出せたらいい。