おなべ

aftersun/アフターサンのおなべのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.7
◉とある親子の、淡く特別な一夏の物語。

◉本作を語るには体力がいる。余韻も凄いし、散らかった思考を綺麗に整頓しないといけない。ストーリー構成も同様に、記憶の断片が20年前のビデオテープを通じて少しずつ頭に流れ込んでくる。彼女の感情と一緒に、記憶と頭を整理しながら親子の数日間の夏を追体験した感覚に陥った。

◉父親の面影を辿る過程で、あまりにも等身大の親子関係がリアル過ぎて感情移入してしまい、柔らかさと苦しさが同時に押し寄せてくる感覚を味わった。彼女の視点からは見れない、ビデオテープ以外の父親の姿が、知れば知るほどに胸を締め付ける。セクシャルに関するテーマが見え隠れする、難しくもかなり感慨深い作品だった。












【以下ネタバレ含む】














◉ストロボが朧げな記憶を表現しているように、昔の記憶は断片的。ハッキリ覚えているものもあれば、そうじゃないものが殆ど。刹那的な瞬間(今、この時)も大事だけど、自分の為にも大切な誰かのためにも、こうして映像として記録して残しておけばきっとこの先、素敵な財産になる。

◉レーシングゲームで出会った男の子のカッコつけ方があまりにもピュアすぎて、思わずニヤリ。
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