龍磨

aftersun/アフターサンの龍磨のレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.9
サマーバケーション系は大好きなので手放しで見ようと思ったがそうもいかなかった。(良い意味で)

静謐な情景描写の中で、節々に感じる絶対に何か起こりそうな危なげな気配。結果的に何も起こらないのだが、思い返してみるともう既に何かが始まっていた。

少女に訪れる思春期、若い父が抜け出そうとする思春期。そのグラデーションのクロスオーバーする時間を、この避暑地で描いてる。

ビデオカメラで父親を写し、それをテレビに接続し流しながら話すシーンがあるのだが、ある質問から父親がブラウン管のスイッチを切ってしまう。そこから鏡とブラウン管の黒ガラスに映った2人が訥々と話し始めるのだが、そこがこの映画が描きたい「シークエンスに反射した何か」を表しているのではないか。

登場人物の心理が映像に反射して浮かんでくるような作品だった。

あと、REMを音痴気味に歌うヒロインに何故か泣けた。最高。
龍磨

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