方向性は違えどどこか「菊次郎の夏」を思い起こさせる、もう二度と戻ることができない時間、追憶と哀情と成長の物語。
この世でもあの世でもない彼岸にて、美しくも薄暗い楽園の宴で、フレディとボウイが愛を唄う。
主演二人の名演、余白を贅沢にとった静謐で不穏な語り口、計算され尽くした感情を揺さぶる構図、特に人物の映し方が絶妙で、見事に心打たれました。
色々心に残るカットはあれど、ガラス1枚隔ててベランダでタバコをふかす背中の長回しカット、自分の父の姿と重ね合わせてしまいどうも忘れられない
万人に薦められる映画ではないが、紛れもなく今年一番美しく哀しいラブ・ストーリーだった。