アキラナウェイ

aftersun/アフターサンのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.0
2022年のカンヌで話題を呼び、多くのメディアが"ベストムービー"と評価した…らしいんだけど、個人的には些か期待外れで終わってしまった。

11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、 離れて暮らす父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのリゾート地にやって来た。陽光の下、ビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間を共にする。20年後、当時の父と同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ビデオ映像の中に大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出していく—— 。

ビックリする程に何も起きない。

親子がひと夏のバケーションを楽しげに過ごしている。それは大変よろしい。

父が心に何かを抱えているのはほんの少し伺えるけど。

故郷エディンバラを捨ててきた事。
辛かった幼少期。
ソフィのいない部屋で1人咽び泣く姿。

彼が抱える心の闇の片鱗は垣間見えても、それは仄めかす程度の短いカットで、後はずっとひたすら仲が良い父娘のやり取りが続く。

大人になったソフィは女性と同性婚したのかな?

そして、気付けば終わった。
大きな何かが起きる事もなく。

これをどう、処理したらいいんだろう。
僕は何を思えばいいんだろう。
僕はなんて言えばいいんだろう。
こんな〜夜は〜
こんな〜夜は〜
以下略

あまりに語られなさ過ぎる。
父と母の離婚の理由は?
父は何を思い詰めていたのか?
これ程に仲の良かった父娘がその後どうなったのか?

想像する余白があるというのは結構だが、あまりに余白が多過ぎやしないか?

他人のホームビデオを眺めているだけの感覚に陥ってしまい、個人的には全く良さを感じられず。もう少しだけドラマとしての起伏が欲しい。好みの問題かも知れないけれど。

blurの「Tender」を久し振りに聴けたのは収穫。