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aftersun/アフターサンのyksijokiのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.1
親子モノへの涙腺が赤ちゃんなので最後めちゃ泣いてしまった。最後まで観ても面白かったのかは分からないけど、余白と頭の中を駆け巡るビデオ映像のような朧気なショット。ソフィ本人の記憶がそのまま脳内に残るような感じがあって素晴らしい映像構成だなと思った。

SOMEWHERE的な展開なのかと思わせつつどっちかというと海辺のポーリーヌっぽい展開が続いていって、思春期の女の子がパパにはあまり言わない色々みたいなものが映像として映し出される。これはソフィがパパと同じ年になってから観た映像に重ね合わされている彼女本人の記憶や視点だったのかなと思う。

明るくてエモ消費な映画のように見えて実態は暗く、内面をダンスホールでのダンスに照らし出すような演出もあとから刺さってきた。あとは海の暗さ。潜るという行為。うぅぅ…。

子を持つ父親の難しさなのか、父親そのものが父親であろうとすることと、出来ていないことへのギャップや不甲斐なさみたいなものに対する内面的な傷つきを背中やセリフで示しているような気がして、ホント辛かった。

バカンス映画の要素を保ちつつ、余計すぎるような気がするほどの余白があるからこそのセリフのいくつかの伏線の際立たせ方とある種の対立に対する不安定さ、グラつき、躁鬱がパッと映し出されたときにこちら側がハッとするというかドキッとくる。ある種そこが怖いぐらいに日常に溶け込んでいて最後まで怖かった。鬱表現というか、バッと切り替わった所でソフィには観えていないいくつかが本当に辛かった。 

やっぱり男の子とお父さんにはないコミュニケーションだなぁと思う反面、それは性別の問題なのかは最後まで消化しきれなかった。年頃なのか、親、父親に対するアンコンシャス・バイアスによるものなのか。。

アンダー・プレッシャーであんなに泣けるとは。。。心弱ってるタイミングで観てしまったので結構来てしまった。見えなかった鬱みたいなのがしんどい。観てる側も途中から見えだすのがホラー、って意味だと割とホラーなのかもしれぬ。。ビデオテープというツールもそれっぽく見えてくる。

キャスト★4.5
ストーリー★3.5
プロット★3.9
ヴァイブス★3.8
演出★4.3
映像★3.8
音楽★3.9
全体★4.1
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