ストーリーが細やかなので、若干の間延びを感じるのは致し方ないが、
お互いの立場や関係性、年齢、空気をトルコの異国情緒と旅の特別感も感じさせながら、映像を切り取るのがものすごく上手いなと思った。
「この構図、間、尺、天気、色だから伝わるもどかしさや孤独があるよな」とひしひし伝わってくるシーンが沢山あって良かった。
思い出や記憶の隙間にひっそりとこぼれ落ちた感情がとても丁寧に掬い上げられている。
自分には10年後どころか旅の終わりすら見えておらず、どんなに世界から消えたいと思っていても、娘の前では明るい未来を提示し、良き父親であろうとするカラムの優しさにとても胸が苦しくなった。
夜の海に入っていく時、「このままカラムが帰ってこなかったらどうしよう」ってソフィ以上に思ってしまったし、ソフィが父の危うさを常に敏感にキャッチしていて、父であろうとする父以上に、父のために・二人のために、思い出を作ろうとする姿、父の誕生日を嬉しい記憶に塗り変えようと頑張る姿に泣いた。
私も父とこんな時間を過ごしてみたかった。
自分と父の距離も考えさせてくれる良い時間だった。
