このレビューはネタバレを含みます
老母の住む村はダム湖に沈んだ。そして、イラン・イラク戦争で殉職(殉教)した息子の墓がダム湖の真ん中の島にある。老母は息子から離れられず、何度もその島に渡ろうと試みる。
映画のほとんどが老母の移動のシーン。
ゆっくりとどこかに向かう姿を長回しと大胆なつなぎでみせる。
行政に行っても島に渡ることが許されず、ダムに対して怒り、身体を悪くしても、誰に止められても、ゆっくりとでもその島を目指す老母の姿が胸を打つ。
ゆっくりと移動をみせることで、悠久の時間を苦悩と息子への愛だけで生き続ける姿を表現しているのだろうか。
ゆっくりとしているのに、どこか面白く、飽きずに観れた。傑作。